今年の三の会も大過なく終演いたしました。
ご来場いただいた皆様、有難うございました。
今年は、これまで長きにわたり、三の会をはじめ名古屋の能楽公演をご支援くださった、NPO名古屋能楽振興協会様が解散されました。大変残念ではありますが、これまでのご支援に感謝しつつ、しっかり自立していくしかありません。
経費をさらに抑え、三の会会員の皆様にもご協力いただいた結果、またこの会を続けていくことができそうです。
さて、私は今回「不腹立」「縄綯」二曲のアドを致しました。
不腹立は初めての曲。正直にいうと、曲がらのイメージもあり、少しナメてかかったのですが、案外難しいクセモノでした。
シテはダメ出家という設定なのに、案外口先が達者で、なかなか馬脚を現しません。アドは、前半は篤信家なのに後半は意地悪。前後のギャップを握っているのはどちらかというとアドのようです。ガラッと笑いに持っていくか、同一人物として整合性を持たせられるか。
……と言う以前に、後半の台詞がとても混乱しやすく、へんな緊張感も強いられました。
楽屋に戻ってから、何度かやらないとねと話しました。
縄綯は、先代のお相手も何度か致しましたし、二年前の国立能楽堂公演では松田さんのお相手もした曲。何某は演技どうこうというよりは、シテのすることがより面白くなるためにどうあるべきか、あまりこねくり回さない方がいいのかなと思いました。後半の黙って聞きながらの苛立ちは難しい。
それから、伴野さんの「祐善」小謡、とてもよかったです。今月満86歳となり、先代又三郎師の年齢に並ばれました。普段の舞の地謡とはちがう、ややゆったりとした丁寧な謡。とても音楽的に聞こえました。また最後の「ほのかにみえてぞ失せにける」はいかにも成仏して消えていく様でした。
来年の三の会は2024年11月23日土曜日、勤労感謝の日です。いまからご予定くださいませ