先日掲載した先々代又三郎の文では、「こういう名はない」と断りながらも、しさりドメと名付けられた、いまいう叱り留め。
「何でもないこと、しさりおろ」「はあ」「えい」「はあ」という終わりかたは、現代人にはちょっと馴染みにくい。「やるまいぞ」の追い込みに比べると、えっ、これで終わり?という感じがします。お客様の反応もそうだし、私たちでさえそう思う。
『菊の花』が、やはりこのトメになっています。稽古をしていて、少しだけこの「しさりドメ」がつかめました。
これ、落語のオチ、サゲの原型のようなものかもしれませんね。叱るところでなく、その直前の、シテの最後の言葉が。
仮にこの定型のトメをなくしてしまえば、そういう感じかわかるのではないでしょうか。
最後の一言がサゲ。その前をいかに上げて、サゲを利かせるかが大切ですね。