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熊本で創作狂言

 今年の舞台納めは、熊本での創作狂言『熊本三獣士』でした。三度目の公演で、毎回お役をいただいています。


 私の役は、加藤清正に怨みを持つ僧の亡霊が取り憑いたお殿様。悪役です。

 セリフを言っていると、時代劇の悪役のようでもあり、戦隊ヒーロー物の悪役をやっているような感じもします。きっとどれも結局、歌舞伎の悪役に繋がっていそうです。

 そうしてみると古典狂言には、悪役らしい悪役はいないのですよね。


 じつは、最後の場面で、憑いた亡霊が抜けて、ふだんのいつもの殿様に戻る演技のほうが難しい。劇中では、はじめから霊が憑いた状態で現れていたので、観客が見ていなかった姿に戻ろうとするのですし、もうセリフは四つしかないので。

 まぁ、ふだんは民から慕われているであろう殿様というイメージで、考えてやっています。